おやこで、みんなで、学び育ちあう「おやこ保育園・ほうかご保育園」小笠原舞さんインタビュー|前半

おやこ保育園

初めての子どもを育てている時、これでいいのかな、大丈夫かな、と不安に思うこと、よくありますよね。

そんな時、気持ちに寄り添い、背中を押してくれる場所があったらどれだけ救われるでしょう。

今日紹介する「おやこ保育園・ほうかご保育園」は、そのひとつの形を提案しています。

「おやこ保育園・ほうかご保育園」を主宰しているのは、小竹めぐみさんと小笠原舞さんの2人。今回小竹さんは出張でのお仕事だったため、小笠原舞さんに、活動に込めたお2人の想いを聞きました。

左:小笠原舞さん 右:小竹めぐみさん

左:小笠原舞さん 右:小竹めぐみさん

 

子どもも主役、大人も主役

◆おやこ保育園について教えて下さい。

小笠原舞おやこ保育園はいまの時代にあう新しい保育のかたちをめざしてつくった新しい保育園です。入園説明会と卒園式を含む、全10回のプログラムを行っています。親にとっても子どもにとっても、きてよかったね、と思えるような内容にしています。             

おやこ保育園 1日の流れ

ここでおやこ保育園で、大人と子どもがどんな時間を過ごしているのかを紹介します。

10:00―朝の集まり

手遊び 絵本、予定、目標、ルールなどの共有

朝の会

朝の会

10:25―こどもが主役の時間

毎回テーマに沿って、素材を楽しむ。

テーマは じかん かたち おと いろ ひかり いきもの からだ ぶんか

こどもが主役の時間

こどもが主役の時間

10:50―お散歩

11:25―みんなでお昼ごはん

11:55―おとなが主役の時間(ペアレンツ・ダイアログ)

毎回テーマに沿って、話をし合い、そこから気付きを得る

大人が主役の時間

大人が主役の時間

12:30―帰りの集まり

今日の気付き こどもへのありがとう ママ自身のがんばったところを共有

13:00―降園

 

おやこ保育園だからできること

子どもを中心に、一緒に関わり育ち合う関係性

◆おやこ保育園の特徴は?

小笠原舞対等な関係性を大事にしていることですね。

保護者と私たち運営側。それに子どももみな対等な関係です。先生が偉いとか、親が偉いとかではなく、子どもを中心に、一緒に関わり育ち合う関係性を作っています。

プログラムが<前半はこどもが主役の時間、後半は大人が主役の時間>としているのも、同じ人間として対等に時間を使いたいという思いから。親のためだけにくるのでなく、子どものためだけのためにくるのでなく、どちらもきてよかったね、と思えるように、両方を大事にしています。

DSC06672_650

大人も子どもも、両方を大事にしています

 

親の子育て学び場であること

小笠原舞前半のこどもが主役の時間では、まずは子どもの遊びを見守る練習を親にしてもらっています。悪いことではないんですが、大人って、無意識にやり方を教えてしまうんです。でも、ここではグッとこらえてみる。多くの大人はこどもはまだ未熟だから、なにかしてあげていないとと思いがち。ついつい役割がほしくなってしまうようです。

口を出さず、一歩引いて子どもを見守ってみると、子どもは自発的に学びを得ていくのです。けれど、頭でわかっていてもなかなかできないこと。毎回こどもが主役の時間に、オリジナルの観察シートを持ちながら、みんなで実践を通して学んでいます

後半の大人が主役の時間では、テーマに沿ってみんなで話をします。

テーマは、良い家族ってなに? 個性ってなに? コミュニケーションってなに? など。

これって、答えがあるわけではない。そして、普段なかなか話すこともない内容ですよね。この時間では、不安になりやすく、ブレやすい子育て軸を整えるお手伝いをしています。

みんなで話をし合うなかで、隣のお母さんから新しい気付きを得てもらう。卒園生からは、「こどものために来てみたけれど、実際来てみると、対話の時間で自分らしい子育ての形が見えてきて、この時間が一番好き」という声が多いです。

テーマに答えはない。話し合う中で気づきがある。

テーマに答えはない。話し合う中で気づきがある。

 

おやこ保育園、はじまりへの想い

お母さんの気持ちに寄り添いたい

◆おやこ保育園を作ったきっかけは?

小笠原舞保育士をしていて、もっとこうだったらいいのになと感じていたことを、めぐちゃん(おやこ保育園を一緒にやっている小竹めぐみさん)と話していたときに、”ないなら自分たちでつくろう!”ということで作りました。

その1つが、親御さんが子育てを学ぶ場でした。たとえば、保育園で育児相談をやりますよ、といってもなかなか申し込みはないし、年1回の保護者面談の10分〜15分の時間では込み入った話もできない。きっと、こんなこと聞けないとか、どこまで話していいのか、と親御さんたちも思っているだろうなと感じていました。

私やめぐちゃんは、保育園に勤めていた時にも、親御さんとのやりとりが好きだったので、積極的に声をかけていたのですが、もっと保育者と保護者がチームになり、子どもを育て合うということができるといいなと感じていました。

保育士の専門性をもっと役立てる

小笠原舞いろいろなママに会う中で、共通項が見えてきました。なにかしてあげないといけない、とか、泣かしちゃいけないとか、もっと親が完璧でなくちゃいけないとか。

こどもにとって泣くのは1つの言語です。でも、これって保育士だから知っていることなのかなと感じました。0歳〜6歳の子どもたちと一緒に過ごしているから、成長の先もみえてるし、いろんな子がいるのも知っているから、親御さんよりも子どもを育てる上で、これで大丈夫!という安心感が大きいんだろうなと思ったんです。

自分たちの専門性を園の外でももっと役立てられると思ったときに、従来の保育園では収まり切らなくなったんです

 

こどもの力をもっと信じられるようにするにはどうすればいい?

もっと完璧でなければと、がんばるママにたくさん出会った

 

遊びを通して子どもたちが繰り広げる世界が好き

小笠原舞asobi基地(子育て支援コミュニティ)を始めたきっかけは、私が遊びを通して子どもたちが繰り広げる世界がすごく好きだったことと、遊びの中にある学びがたくさんあると知ったこと。それをもっと多くの人に伝えたいと思ったことから始めました。

あと、園では子ども同士が仲良くしていても、お母さんが一緒にいると子どもって甘えるので、お母さん自身は仲良くしている様子を見れていない。お母さんは見てないから、できてないと思いますよね。子どもの本当の力が伝えきれなくて。なんだか、それが悔しくって。

子どもの力をもっと信じることができるようにするにはどうしたらいいんだろう、お母さんともっともっと子どものことを共有したいなと思って、asobi基地を始めました。

親子で一緒にいるから出来事も共有できるし、それをちゃんと伝えられる場になっています。子どももお母さんに見てほしいこと、いっぱいありますしね。 

おやこ保育園設立への道

オトナノセナカとasobi基地

小笠原舞めぐちゃんが代表を務めているNPO法人オトナノセナカというのがあります。活動の中で大切にしているのは、凸凹(でこぼこ=違い)を認め合える社会を作ることと、そのための方法が、おやこ保育園の中にある大人が主役の時間でやっている「対話(ダイアログ)」です

2010年に任意団体として一緒に立ち上げた後、私は抜けて2012年にasobi基地を作りました。オトナノセナカの大切にしている「対話」を広めるためにも、もっと親子をいっぱい巻き込みたいと考えました。そこで軸に置いたのが、子どもの遊び場。これがおやこ保育園では、こどもが主役の時間となっています。私たちが大事にしている2つを合体させたのが、おやこ保育園なんです。

企業とコラボレーションしながら、”こどもにとって、本当にいい社会”をつくることが「こどもみらい探求社」の中心事業です。コラボするということは、企業側のニーズもあるため、私たちの純度100%のままではなかなか提供できません。でも、私たちはそのことはネガティブにとらえているわけではなく、逆に出会えない親子に出会うチャンスだと思っています。

”こどもにとって本当にいい社会”をつくることが中心事業

 

やりたいこと、純度100%どうしのかけあわせ

小笠原舞そんなことで、自分たちの理想とする保育園の形をつくりあげることにしました。また、自分たちの現場がないと今の親子を知ることができないということもあり、めぐちゃんのやりたいこと純度100%と私のやりたいこと純度100%を詰め込んで、よくばってつくってみました!あとなにより私たちが親子といる時間がないと嫌なんですが。

私もめぐちゃんのやってる対話は大事だと思ってるし、めぐちゃんも私がやっている遊び場は大事だと思ってる。私は遊び場づくりが得意で、彼女は対話の場作りが得意。どちらもお互い大事だと思っているからこそ、一緒にしました。私たちの得意・不得意=でこぼこを活かして、出来ないことは出来ないからどうしようと相談しながら仕事をしているんです

 

―共同経営者の小竹めぐみさんと、舞さんの熱い想いが詰まっているおやこ保育園。二人がお互いを尊重しあうように、おやこ保育園でもお互いがお互いを尊重する、心地よい空間があるんだろうな、と感じました。後半に続く。

SNSでもご購読できます。