世の中に対して、最初の一歩をどう踏み出すか「子育てと政治をつないだら」藤岡聡子さんに聴く|前半

藤岡聡子

親子で参加できるイベント、というと、歌があったり、絵を描いたり、かわいらしいイベントを想像することが多いかもしれません。

今回、取り上げるイベントは取り上げるのは、6月25日に開催された『ハンドブック子育てと政治をつないだら」発行記念ワークショップ』。かわいらしいとは程遠いテーマです。

「え。子育てと…政治!?」

何をするんだろう。。堅苦しく、静かに難しい話を聴くのかな?ちょっと敬遠してしまうかもしれません。

いやいや。そんなことはなくて、他のイベントと同様、参加者同士で話をしながら盛り上がるワークショップです。

いろんな人の話を聞きながら、いろんなことを考えて。たくさん自分の話をして。受け身になりがちな「政治」が、気付くと自分ごとに変わっている

ワークショップには、どのような仕掛けが用意されているのでしょう。そしてその仕掛けはどのような想いで、作られているのでしょう。主宰されたKURASOU.代表藤岡聡子さんにお話をうかがいます。

KURASOU.という団体は、子育て中の親だからこそ、学ぶ場が必要だよね、との想いのもと、作られました。代表の聡子さん自身も二人の子を持つ親です。これまでメンバーの方と政治、食、エネルギー、廃棄物など様々なテーマについてワークショップを開催してきました。

ハンドブック「子育てと政治をつないだら」は若者と政治をつなぐ NPO法人 YouthCreateと、親の思考が出会う場 KURASOU. が制作しています。

こそだてと政治をつないだら

親のための時間、ワークショップの流れ

◆ワークショップはどんな流れでしたか。

face前半は、インプットという意味で、ハンドブック全ページの解説とトークセッションをしました。トークセッションは、「市民と政治の距離感をこれからどうしていこうか?」ということがテーマ。私と原田さん、鎌田さんの3人で行いました。

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ken原田さん ハンドブックを一緒に作った若者と政治をつなぐ NPO法人 YouthCreate代表 

 

facekama鎌田さん 市民の草の根活動を広めている、コミュニティ・オーガナイジングジャパン代表

 

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こどもの遊ぶ声が聞こえる空間で、トークセッション

こどもの遊ぶ声が聞こえる空間で、トークセッション

 

face

後半は、アウトプットの時間。個人&グループワークをしました。

まずアクションシートに「自分ができること」「やってみたいこと」「友達同士でやれそうなこと・できること」を埋めるという作業をしました。

当日使用したアクションシート

当日使用したアクションシート

膝の上にのった赤ちゃん同士が見つめ合う風景も

全部の枠を埋めることが目的ではなく、書ける範囲で書く。

 

faceその後、グループで話をしてもらいました。

明日からできることもそうだけど「5年10年というスパンでどうアクション出来るか」「政治に対してどう距離感をもっていけるのか」ということを言語化しアウトプットしていきました。

こそだてと政治をつないだら風景

関心が近い人が多いからか、初対面とは思えない盛り上がり

 

KURASOU.の姿勢、「私」に向き合う

KURASOU.代表藤岡聡子

対話を通じて言葉にしていく

◆言語化がひとつのキーワードになっていそうですね。

faceそうですね、人と話す中で上がってくる自分の言葉がすごく大事だとおもうので。まず書いて、人と話してあがってきたものをまた書く。この作業はKURASOU.を始めてから1回も欠かしたことがありませんね。

思っていることを対話を通じて、言語化していく。書くとなんだかやりたくなってくる。「じゃあ、やってみたら?」と背中を押し合う仲間に出会っていって。

◆書くこと自体が行動宣言みたいなとこでもありますね。

faceそうですね、うんうん。

 

日常意識しないことを、立ち止まって考える

◆どんなことをテーマとしてきたのですか?

face日常会話において、普段あまり話さないものをテーマとして扱っています。

最初にKURASOU.をはじめたときに扱っていたのは、食べるもの、エネルギー、インクルーシブ教育(※)、廃棄物、そして政治です。

日常、別に意識しなくても生活できてしまうことに、立ち止まってもらうことになるので、そのためには、興味喚起ももちろん大事だし、宣言してもらってやるということも大事。参加してよかったー、で終わらせないために意識して学びの設計をしています。

※インクルーシブ教育とは、障害のある子どもを含むすべての子どもに対して,子ども一人一人の教育的ニーズにあった適切な教育的支援を「通常の学級において」行う教育のことです。

立ち止まって、考えて。主語を自分に取り戻す

KURASOU.代表藤岡聡子

◆「言語化して、アウトプットする大切さ」は、KURASOU.のホームページでも触れられていますね。思考がシンプルになる、小さなことから実践していくための工夫だと感じたのですがいかがですか。

faceそうですね。あとは、「主語を自分に取り戻す」ということがすごく大事だと思っています。誰かに言われたからやっています、とかじゃなくて。誰かの言葉がアクションのきっかけになることはある。ただその時に「私は」という主語が欠けがちな気がしていて

育児していると子どもが全部行動の中心になるじゃないですか。子どもが望むなら、じゃあもうそうしようというか、意思決定をすごく急がなくならなきゃいけなくなる。ゆっくりインプットして、ゆっくりアウトプットすることで、「あ、わたしこう思ってたんや。そういえばそうだった、わたしやった。だれかのママととかパパじゃなくて、わたしわたし。ちゃんと、言わな〜!。」みたいな(笑)

いろんなものをシンプルにするには「自分がそう思う」と思わないと、雑音がはいると思います。特に政治についていうと、政党がどうとか、そういうことじゃないんです。何を自分が大事にしているか、という軸があって初めて選択肢に向き合うことが必要だと思うんです

 

対話を繰り返してシンプルに。シンプルになると行動しやすい

◆対話し、「私はこう思う」を繰り返すことが、「主語を自分に取り戻す」ということに繋がるということですか。

faceそうそう、そうですね。

対話を繰り返す中で、「私は」がより明確になっていく。それがシンプルになる、ということ。

「誰かに言われたからする、でもそれ、ホントはやりたくない」ではなくて、「私がこう思った」「私はこうしたいんだ」と。すると、もっと主体的に行動しやすくなると思うんです。

学びの中で、そういった変化をどうやって起していくか。3年やって、少しずつみえてきたかなって感じがしていますね。

答えを言わない、余白あるインプット

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インプットし、あとは自分で決めていく

◆これまでのお話が後半のアウトプット部分ですね。前半でされているインプットでの工夫はありますか。

face「答えを言わない」、ですね。

例えば、今回に関していうとインプットのところで「投票に行きましょうね」とは一言も言っていないんですよ。暮らしや行政、あとは大きな国政とかにどう興味を持ってもらうか、ということを意識しています。

意図はしているけど意図しきっていない。余白あるインプットという感じなんですよね。

全部が全部解説するよりも、「ふむ・・・」と、受け手がちょっと一回受け止める時間を持つ、という感じがわたしは好きなんです。

参加者の方が「うんうん」ってきいて「ん?」とちょっと止まるくらいがちょうどいいインプットの塩梅なんじゃないかな。

だから「事実」は言うんですけど、これが正解だみたいなことは言わない。あとは自分で決めてください!みたいな感じです(笑)

◆適度な情報量も大事そうですね。いきなりたくさんの情報を出されても「こんなにはムリ」ってシャットダウンしちゃいそうだし、適度な分量と絶妙な伝え方なんだろうなというのをすごく感じました。

face会によってはインプットの量が多いこともあるかもしれないけど、その場合は同量がそれ以上にあとのアウトプットの時間をとっています。

◆インプットとアウトプットのバランスも意識されているということですね。

ワークショップの空気。自分に焦点に合わせる場 

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◆このワークショップの場はどんな場でしたか。

faceぼやっとしていたものの焦点が合う感じがありましたね。眼科にいったらあの…「気球の像」をみるじゃないですか。(視力を測る機械ですね)あんな感じで、ぐっとみんなの焦点が合っていく感じ

「いま焦点が合った合った、こういう見方したらいいんだ!」みたいな。

同じものをみても、Aさんにとって焦点が合うところとはBさんやCさんと違うかもしれない。それでもAさんにとっては正解だし、BさんCさんもその人なりの焦点が合うところがあるだろうと。

3年間の集大成

◆ひとりひとりが自分の焦点を合わせる場だったんですね。聡子さん自身にとってはどんな場でしたか。

face3年間続けてきた素地があるので、一つの集大成なような気がしたんです。 

KURASOU.は名刺もチラシも一切作っていない。「こういうことやっているけど、興味があればどうぞ!」みたいなことしか言っていない。そうして今まででのべ180名くらいの方たちが来てくれました。そのほとんどが、参加された方の口コミで広がりました。

外部の人に届けるツールをつくるのは、今回の「子育てと政治をつないだら」が初めてです。親が政治を学ぶという一つのテーマに対しては、このハンドブックを使ってアプローチできると自信を持てた気がしますね。

その自信は、きてくれた方たちの感想も影響してると思います。あと、ワークショップをやってると、その場にいる人たちの表情がぱっと明るくなる、空気が変わる瞬間ってあるじゃないですか。今回、本当にいい変化の感触をダイレクトに受けた気がするんです。それは、かなりおおきかったかな。

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答えがない学び場

◆その場でいろいろと体感されたんですね

faceそうですね、これまでで一番大きな感触だった気がします。

親が政治を学ぶっていったら答えがある場が多いんですね。でも「いえ、答えは自分で決めてくださいね」というのはあまりない。ないからつくろうとおもいました。模索しながらも参加された方とつくり続けた3年間と、事実をまとめたハンドブックというツールを作り上げたことが、今回のいい感触に繋がったんだと思います。

◆3年前からの活動の集大成が6月のワークショップだった、だからこそ得られている体感が大きいのかもしれないですね。

後半では、聡子さんご自身についてお話を聞いています

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