届けたいのは心がラクになるきっかけ、フラワーアレンジメントレッスン|白根由貴さんに聴く(後半)

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子ども向けフラワーアレンジメントレッスンをする『はるの庵』の白根由貴さんに、正解のないレッスンの様子を聞いた前回。今回は、白根さんご本人について深く聴いていきます。前半はこちら

白根さんは現在中学1年生の男の子と、小学2年生の女の子を子育て中です。産前はテレビ業界で働き、仕事にやりがいを感じていながらも、産後は元の仕事への復帰を断念。子どもと向き合いながら、自分のやりたいことを見つめ、選んだ仕事は自宅でできるお花の教室。5年前お花の教室を開くとともに、子ども向けのレッスンもスタート。日々多くの人へお花と過ごす時間を届けています。

「お花」を選んだ理由、子ども向けレッスンへの想いに迫ります。

はるの庵 白根由貴さん

はるの庵 白根由貴さん

 

偶然の連続。花との出会い

-子ども向けにフラワーアレンジメントの教室を開こうと思ったきっかけを教えて下さい。

まだ、子どもを産む前のことなんですが、ガンで闘病中の友人にお見舞いとしてフラワーアレンジメントを持っていったんです。「綺麗!やっぱり、お花はいいね」とその友達が、本当に喜んでくれたんです。残念ながら、その2週間後に彼女は他界しました。お花で部屋を明るくしてあげたい!と思っていたのですが、諸事情あってお花を渡せたのはお見舞いの時だけ。もっと早く沢山お花を届ければよかった、とすっごく後悔しました。そして、彼女の告別式の翌日には、フラワースクールに申し込んでいる自分がいました。

テレビの仕事は大好きで、妊娠8ヶ月まで夢中でやっていたんです。でも当時、女性が子育てしながら現場で働き続けることは難しい環境でした。なので、子どもがいてもできる仕事を意識するようになり、仕事をしながら通信でお花を学んでいました。ありがたいことに産後、復帰しないか、というお話も頂きましたが、夫も同じ業種で不規則、実家は遠方で頼れず。提案された勤務体系は時間も曜日も余りに不規則で、保育園に預けながら働くのは、どうやっても無理でした。

その頃から“いつか自宅でお花の教室を開こう”と強く思うようになりました。

-テレビの仕事とお花の仕事の共通点はなんですか。

今の私の仕事は、お花のスキルを教えるのはもちろんですが、それ以上にお花を使って生徒さんの気持ちがラクになる、生徒さんが気持ち良く生きる「きっかけ作り」だと思っています。前職のテレビの仕事も「きっかけ作り」がしたくて選んだ仕事でした。表現するものが映像からお花に変わっただけで、やりたい事の軸となる「きっかけ作り」という部分は変わっていません。

私自身も、本の一節や先輩の一言、出会いなどから、たくさんのきっかけをもらってきました。ちょっとしたことで、人って変われたり、気持ちがラクになったりしますよね。誰かの、何かの、きっかけになってくれることをやり続けられたら、と思ってやっています。

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花を活ける息子に抱いた尊敬の念が、気持ちをラクにした

-大人向けだけではなく、子ども向けのレッスンをはじめた理由は?

私自身が、花を活ける息子を見て、心がラクになる経験をしたんです。

息子が2歳くらいの時、私がアレンジメントの提出課題を作った廃材を欲しがり、「じゃあ、どうぞ」とあげたんです。茎や葉と少しの花。それを息子が迷いなくザクザクと挿して形にしていていって「えっ、そこにそんなふうに飾るの?!」と自分にはない感性に驚きました。できあがったアレンジメントは斬新だけど可愛くて、「すごい!かわいいじゃん!」って素直に感激しちゃいました。すっごくヤンチャな男の子だったので、折れそうな花を優しく挿している様子、落ち着いて座って集中している様子をみると、こんな一面もあるんじゃん!て何だか嬉しくて。

大人って、型にはめようとしたり、素敵に見られるためにはどうやって活けよう、と考えてしまいます。でも、息子は自分の本能的な感性で素敵にアレンジメントを作り上げました。そして“すごいじゃん!”と思えた時、素直に彼を尊敬できたんです。同時に、いつも息子を叱ってばかりで苦しかった私の気持ちがラクになっだんです。

当時息子はヤンチャで、じっとしていることが本当になくて。常に走り回っているね、とまわりからも言われるほど。私がダメなんじゃないか、うちの子がダメなんじゃないか、と思ってしまうことが多かったです。

保健師さんに相談したときも、「10のうち、いくつ褒めていますか?」と聞かれて、「ご飯食べたね」「着替え終わったね」それくらいしか思いつかなかったくらい、怒ることが多かったんですね。その中で彼の良さを認めることが出来て、本当に嬉しかったんです。

同じように子育てに苦しさを感じているお母さんが、ふっと自分の子どもの魅力に気づいて尊敬の念を持つことができたら、子どもとの関係が変わるきっかけになるのかな、って思いました。当時、すぐにお花の教室を始めることはできなかったのですが、下の娘が2歳になる頃に、お友達を呼んで試験的に今のお花遊びをやってみました。キッズレッスンは子どももすごく楽しめるし、お母さんたちの心のメンテナンスにつなげていける手ごたえも感じました。そして5年前、お花の教室を開くと同時に、キッズレッスンも始めたんです。

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花の魅力。ただ今この場を頑張るだけでいいと知らせてくれる

-白根さんにとって、お花の存在が人生を変えるきっかけになってきているようですね。花の魅力を教えてください。

花は綺麗に咲こうと思って咲いていないですよね。ただただ、咲くことだけに一生懸命。その咲いた花をみて、心和む人がいたり、涙を流す人がいたり、喜ぶ人がいる。一生懸命咲いた花が、他の人に影響を与えられる。すごいですよね。

自分がなんとかしなきゃ、いいお母さんにならなきゃ、女性としてこうしなきゃ、もっと頑張らなきゃとか、思うときがあるけど、お花を見ると「ただ今この場を頑張るだけでいいんだよ」と一瞬だけでも思わせてくれる。思っただけでほっとしますよね。「余分なことをやらなくても、今できることをやっていれば、いいじゃん」と思えることが、花を一輪だけでも見る良さだなととても思っています。

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お花を通しての承認の連続が、生きる力をはぐくむ

-レッスンを受け、お花と出会うことで、子どもたちにどういう影響を与えていきたいですか?

子どもたちが「自分はこれでいいんだ」と思えるように、「生きる力」をつけるきっかけになっていくといいなぁ、と思います。

レッスンをしていて、子どもたちがお花を通して、自分に自信をもっていくことをすごく感じるんです。自慢げに「みてみて!」と作品を持ってくる子もいれば、恥ずかしそうに持ってくる子もいます。どの子もみんな自分の作品への自信が垣間見えます。自分に自信を持てるから、ほかの人を認められる。

みんながちがう作品を作っていると「それ、変だよー」と否定するような発言もありそうですが、教室内ではないんです。お母さん方も我が子の予想外の仕上がりに「こんな風に作るんだ」と驚いたり、他の子の作品の凄いところも見つけて「へぇ」と驚いたりしています。

実はお母さん方も結構大変なんですよ。子どもの年齢があがってくると、子どもの作品につい口を挟みたくなるけど、そこを我慢する。でも、そうすると、最後には「色々言いたかったけど、すごくよくできてるじゃん」となったりするんです。

-お母さんだけじゃなく、まわりからの「いいじゃん、それ」という声かけがいっぱいあって、それがやっぱり自信になるんですね。

そうですね、しかもお花は作品として持ち帰ることで更に発展があります。家に帰った後、お父さん、おじいちゃん、おばあちゃんなど、その場に居なかった人に「いいじゃん」と言ってもらうことが、子どもにすごく自信になるんですね。その場でやる気がなかった子も、帰ったあと周りの人に「いいじゃん」と言われると、とても嬉しいようです。ありがたいことに子どもからまた行きたい、とレッスンを続けてくださる方が多いですね。

継続して参加してくれている子たちはとても自信になっているなと感じますし、この自信がこれから生きていく中でも大事だと考えています。子どもたちが大きくなって、何かあった時にも、その気持ちが自分を助けてくれるだろうなと。

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-では、最後に、お父さん、お母さんに伝えたいことは?

子どもを尊敬できる、「この子、すごい!」と思える瞬間を持てると、自分も変わるし子どもも変わります。大人が本気で褒めると、子どもは本気で喜び、本気で伸びるということを目の当たりにしているから、子どもを尊敬できる瞬間を一回でも多くみつけられたら楽しい子育てになっていくのではと思います。


いかがでしょうか。お花の魅力はもちろん、在り方を見せ続ける白根さんがとっても素敵だなぁと感じました。

キッズレッスンは月4回開催されています。詳細はこちらからご確認ください。

はるの庵
http://ameblo.jp/harunoan/

また白根さんは現在、AneママグループTOMATOの代表としても活躍されています。
お花の仕事をしながら、地域のママ達と一緒に、区や企業とコラボしながら、妊婦や子育て中のお母さんを応援するセミナーなどを開催中。
子育てをキャリアとして認められる社会になってほしいという想いとともに、ご自身も子育てで悩んだこと、苦しんだこと、それもすべて活かしながら、お仕事をされています。

AneママグループTOMATO
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