自然と、いい写真になる。家族写真とは何かプロと一緒に考えてみよう

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「なんで、こどもの写真を撮ってるの?」

この質問を、親たちに投げかけるひとがいます。家族写真の出張撮影をするカメラマン池田浩基さんです。「考えていなかった」という答えが多いといいます。

こどもが産まれると、前より写真を多く撮るようになる傾向、ありますよね。私自身もそう。毎日成長していくこどもの姿があまりにもかわいいから、深い思考がなくても、残したくなるのかもしれません。

でも、一度、立ち止まって考えてみませんか。なぜ、こどもの写真を撮るのか。

なんで急にそんなことを書くか。理由は、わたし自身が「なぜ撮るか」考えたことで、写真を撮ることが楽しくなったからです。それだけじゃなく「いい写真だね」と言われることが格段に増えた。特別な技術は学んでません。したことはただ「考えた」こと。

「なぜ撮るか」考えたのには、きっかけがあります。先ほど登場したカメラマン池田さんとの出会い。彼の家族写真に対する考えを聞き、彼に自分の家族の写真を撮ってもらったことで私の写真は大きく変わったのです。

今回、池田さんが「家族写真」とどう向き合っているかをインタビューしました。池田さんが撮影した家族写真とともにお伝えします。みなさんが、写真をもっと楽しむきっかけになればと思います。

今回お話を伺った池田浩基さん

今回お話を伺った池田浩基さん

 

自然体を切り取るカメラマン池田浩基さん

―池田さんがされている「家族写真の出張撮影」の説明をお願いします。

よくあるスタジオ撮影ではなくその家族の「日常」を撮るんです。家でも、近所の公園でも、ショッピングモールでも、問題が無い場所であればどこでもいきます。慣れないスタジオで、ポーズを撮って撮影するんじゃなく、みんなが慣れた場所で、走って、遊んで、話して笑う。いつもの様子を撮影するんです。

家族写真の出張撮影をするカメラマン池田浩基さん撮影による少女たち

池田さん撮影による家族写真の一コマ

 

―普通のスタジオ写真じゃなく、出張という形での家族写真の撮影をしている理由は?

 家族の、自然な、ありのままの姿を切り取りたいっていう思いがあるんですよね。スタジオっていう非日常の空間じゃなく、その家族自身が選んだ空間で、こどもが遊びたいように、遊んでいる姿を切り取りたいと思っている。

ひとって、笑顔の写真ばかりを好む傾向、ありますよね。特に、こどもの写真だとその傾向は顕著。動かず、ぴしっと立って、カメラに笑顔を向けることを求めたり。

でも、もっと自然でいいのになぁと、僕は思う。半目の写真、泣いた写真、怒った写真、全員違う方向を向いてる写真、こどもたちが全然カメラを向いてない集合写真。そういう写真に惹かれるんですよね。美しいと感じる。残したいと想う。

家族写真の出張撮影をするカメラマン池田浩基さんによる泣き顔の少女

泣き顔だって、魅力的。

 

むしろ、写真の本質って、そこにあるんじゃないかと。あるがままの姿、何て美しい世界だ、と思った瞬間にシャッターを押す。この瞬間をどうにかして切り取りたいっていう想いから始まったのが写真なんじゃないか、と。それを、意図的に作り出して撮るっていう選択肢もある。でも、家族写真っていうのは、本来、作るものじゃないと思う。

家族写真とは?【愛情の真空パック】

家族写真の出張撮影をするカメラマン池田浩基さんによる家族の写真

 

―池田さんにとって、家族写真とは?

愛情を真空パックして未来に届けるもの、というふうに、よく表現しています。

―愛情の真空パック、ですか。どうしてそう思うのですか?

家族写真の価値を感じはじめたころ、偶然、自分自身の昔の家族写真を見たんですね。ものすごく、感動した。自分はこんなに祝福されて生まれてきたんだ、こんなにも愛されて育ってきたんだってことが、確かにそこに残っていて。

普段はむすっとしてる親父が大爆笑してたり。もう死んじゃった、全然喋らなかったじいちゃんが、赤ちゃんだった俺を、満面の笑みでお風呂に入れてたり。見た瞬間、もう、どわーって涙が出てきて。写真の中の、過去の家族たちと、コミュニケーションを取ってるような気さえした。そのまま、あの瞬間が、残ってるから。

日常化しすぎてて、普通になってるけど、写真って、ほんとはすごいものなんですよね。記憶から抜けていたけど、写真見て思い出す事もよくある。そこから、いろんなこと思い出したりする。

こどもが大人になると、人を信じられなくなったり、愛に飢えたりする日がくるかもしれない。ふと、そういう写真を見たら、確かに俺って、祝福されて生まれてきたんだなってことに気づくきっかけになるんじゃないかと思う。愛された時間の空気がそこに残っているから、否応なしに、説得感があるものなんじゃないかなと。寂しい話、親もいつまで子供と一緒にいれるかわからないからこそ、今の日常というドラマの1シーンを 、愛情を 未来の子に残す。

一番下の子が泣いてて、お母さんがそこで爆笑してて、隣の道路で車が走ってる。泣き声も、笑い声も、車の音もテレビの音も、全部の音がそこから聞こえてきそうな。そういう写真を、自分は目指しているんですよね。

家族写真の出張撮影をするカメラマン池田浩基さんによる、誕生日の写真

この写真は失敗?いや、未来に残したいのは、こういう写真かもしれない

 

―確かに、池田さんの撮る写真は、声が聞こえてきそうなものが多いですよね。この子なんて言っているだろうと、想像したくなったり。写真を撮ってもらった人からはどんな反応がありますか?

言ってもらってすごく嬉しいのは「私たちの日常って、こんなにも美しいものなんだ」ってこと。ただ、いつもの公園のベンチに座って、いつも通り喋っただけなのに、ドラマのワンシーンみたい!って言ってくれる。けど、そのドラマの中に、みんな、いつも生きてるんですよね。

俯瞰してみれていないだけで、日常こそ もっとも美しいものだと再確認のお手伝いができれば幸いです。

―慌ただしてく、愛に浸るばっかりじゃいられない日常だけど、池田さんの視点で切り取ってもらうと、ハッと気づくものがあるんでしょうね。

こんなにも愛しているよと伝えるように、シャッターを押す

―こそだて中のお母さん、お父さんたちに伝えたいことは?

「一体なんで撮っているんだろう?」「撮った写真をどうするんだろう?」を、少しでもいいから想像してもらえたらと思いますね。

理由を考えずに撮っても、問題はないんです。でも、そこを考えるだけで、写真って、変わる。写真を撮るのが、もっと楽しく幸せになると思うんです。

自分のために撮るか、こどものために撮るかどっちかにしろって話じゃないんです。将来、大人になったこどもが、その写真を見る。それを頭の片隅に置いて写真を撮るっていうのも、いいんじゃないかと。そうすると、未来の我が子に向けて、こんなにも愛しているよと、伝えるようにシャッターを押したくなると思うんです。

すると、こどもだけを写すんじゃなく、よし旦那さんも入れてみようかとなるかもしれない。こっち向いて、笑って!と言いながら撮るんじゃなく、何かに夢中になるこどもの後姿だとか、悔しそうに帰ってきた姿、じゃれ合って爆笑する姿だとか、撮りたいものが変わってくるかもしれない。その子のいまを、もっと素敵に切り取ることができるんじゃないかと思います。

最後にもう1つの視点から、子育てを終えた時に、その頃の写真は親にとっても大きな宝物になる。それぞれの宝物を切り取ってタイムカプセルに入れるような感覚なんだと思います。

家族写真の出張撮影をするカメラマン池田浩基さんによる公園で遊ぶ姿

それぞれの声が聞こえてきそうですよね。

 

―お話を聞いていると、改めて、写真を撮りたくなってきました。

写真に対する、池田さんの想い。写真の撮り方だけでなく、子どもの成長を見守る「今」の大切さを考えるきっかけになりますよね。


■池田浩基さんの家族写真の出張撮影会■

全国出張撮影プランあります!
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連絡先:ikeda@faro-cf.com
>>見るだけで幸せになる池田浩基さんの家族写真アルバム


このインタビューの「締め」をどう書こうか考えていた時に、気づいたことがあります。個人的な感想だし、「締め」としてはちょっと重くなりますが、書こうと思います。

死者は、写真の顔になる。それが、私の気づきです。

私は、15歳で母を亡くしました。わたしの中で、母の顔は、写真の顔になっています。記憶の母の顔は、時が経つにつれ薄れてしまう。そして何度も見返す写真の顔が、母の顔として記憶に上書きされていく。それって、すごいことですよね。

わたしが、母の死後、何度も見返した母の写真はどんなものだったか。起立してピースして、カメラを見つめる、実物二割増しできれいにうつった顔、ではありません。

何度も行った動物園、レッサーパンダがいる坂道を、私と兄の手をつなぎ爆笑しながら歩く姿。大口あけて、目は糸みたいに細く。私も、兄も、大笑いしてる。

私が、母本人だったとしたら、決してアルバムの表紙には選ばない写真。でも、私はこの写真を何度もみて、泣いた。母が、私の母でいられた15年間に、母はこんな笑顔で、私と過ごしていたのだと。あの日常が、母がわたしたち家族を愛した瞬間が、詰まっていた。

そのことに気づき、改めて、写真の力を感じました。未来の娘に、どんな今を、届けるか。もう一度考えてみたいと思います。

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